シーグラ日記 2009 8月5日

SIGGRAPHも折り返しになりました。とはいいつつ、中間を過ぎるとあっという間に最終日になっていたりします。今年はGame Jamという、FOUG!のゲーム制作版が開催されています。24時間でゲーム1本制作するのも結構大変な事だと思いますが。。。。因みにトレードマークは忍者のようで、FOUG!が大きな声で会場で叫んで、アピールしているのに対して、忍者に扮した宣伝マンが隠れながら人に近づいて、「Game Jam」とひそひそ声で語りかけるという、宣伝を行っていました。忍者の扮装をもうちょっとなんとかしてあげたいと思ったりしました。

会場の制作デスクに置かれた、ボロボロのアニメーターサバイバルキット。彼のモノ作りへの情熱が伝わってきます。こんな感じで制作現場を観戦することが出来るので、時間のあるときにちょっと覗いてみると楽しいです。


●Big, Fast, and Cool:Making the Art for Fight Night 4 & Gears of War 2
ゲームタイトルの開発事例です。こうした形でゲームのメイキングがセッションで取り上げられるのは、自分がSIGGRAPHに参加するようなってから初めての事です。

・Gear of Ware 2
シリーズ2作目となるこのタイトルは、前作がリリースされてからそれほど期間を置かずに発売されました。1作目のノウハウや構築した技術やアセットがあるので、制作進行が早くなのでは、と推測することができますが、実際には前作をふまえて、より良いイメージをより多く、そして製作期間を短くして、製品リリースを早くする、という課題が与えられていたそうです。
ソフトボディダイナミクス、ボリュームフォグ、SSAOなど新しい表現を追加しながらこれまでに作成したアセットの更なる最適化や圧縮を行う必要があったとの事です。例えば、アニメーションデータは全て前作から引き継ぎながらも、骨の共有化を見直したり、骨の構造に若干の変更を加え、新しいアニメーションの圧縮技術の検討も行ったそうです。
新たに作成されるリアルタイムデモ部分では、製作の効率化と目標とするクオリティを共有化する目的で、様々な工夫がされています。サウンドトラックを先行して作成を進め、これに合わせてモーションキャプチャを収録したり、最終的なキャラクタ同士の位置を上面図を作成する事などによって、モーションキャプチャ後に若干の修正で済むように、事前準備の精度が上げられています。背景データでは、ベースとなる構造物レベルでデザインを検討して、これらを組み合わせて構造物を作成する事で効率化を図っています。
こうした地味な部分での底上げを行う理由の一つに、プラットホームが前作と同じだという事が上げられます。更なるクオリティアップには、こうした根本的な部分からのブラッシュアップが必要である事は、過去のゲーム機でのタイトル開発で、ハードの使い方や開発フローが開発タイトル数を重ねる事で洗練されて、高いクオリティのタイトルが作り出されて来た事を振り返ることで、再認識させられます。現世代のハイエンド機においても、同様の事が今後予想されると思います。

・Fight Night Round4
このタイトルもGear of War2と同様に前作をふまえて、更なるクオリティアップの課題が化せられた事例内容でした。スポーツゲームらしく、決定的な瞬間の現象再現をハイスピードカメラをスロー再生で見るようなレベルで新たな表現が加えられています。ボクシングでのパンチにリアリティを持たせるために Contact Feedback Reaction Strategyという4つのキーワードを提示しています。Fight Nightといえば、前作ではパンチのヒットの瞬間の顔が歪む表現が実装されていましたが、前作ではあらかじめ仕込まれた挙動だったものを動的に変化する表現にパワーアップされています。これに伴って汗の飛沫や出血の表現も改良されています。この動的な顔の歪み表現は、ボクサーのパンツの変形に使用されていたソフトボディの仕組みがヒントとなっているそうです。顔に変形用のソルバーをセットアップし、鼻や顎などある程度の形状の保持が必要な部分と、頬のような柔らかい部分で変形具合のウェイトを設定する事によって、ソフトボディでありながら、フニャフニャな変形にならないパンチがヒットした挙動らしい表現を実現しています。
体の筋肉の表現はハイエンドゲームではおなじみとなりつつある、動的ノーマルマップによって表現されています。筋肉のディティールを表現したモデルデータからノーマルマップを生成して、体の各部分毎にジョイントによってノーマルマップの強さがドライブされるようにセットアップされています。これだけでもかなり現実感のある筋肉の表現に見えます。
アニメーションに関しては、モーションキャプチャを基にしていますが、ビヘイビア、マッスル、マグネット、コリジョンといったゲームシステムを経て、モーションキャプチャに動的な調整が加えられています。例えば、パンチに対してブロックされたことによってパンチの起動が変更されたり、ブロックも常に同じ状態が再生されるのではなく、受けたパンチによって動きが調整されています。EAのスポーツゲームはスポーツの動きの表現に関して、よりゲームの中でゲーム性に関連させて、動的に変化させるような試みを積極的に取り入れています。日本ではあまり注目されないジャンルですが、ゲームアニメーションの最新動向を見る1つの例としては注目の高いジャンルと言えます。

●Animateering
・Tablescape Animation:A Support System for Making Animations Using Tabletop Physical Objects
Tablescapeという独自のデバイスを使って、直感的にアニメーションを作成することが可能なシステムの紹介です。Tablescapeは昨年のSIGGRAPHでもEmerging Technologiesで展示されていましたが、今回紹介されたシステムによって、ユーザー自身がコンテンツを作成する事が可能になっている点が新しいです。
コンテンツはタブレットペンを使って絵を描くか、イメージデータを取り込む事で作成します。取り込んだイメージを前後左右どの方向を向いている状態か、どちらに移動しているのか、といったTableScapeの挙動と関連付けを行います。これも、ペンタブレットでアイコン同士を結ぶだけで簡単に設定できるようになっています。設定したキャラクタを音声に合わせてリアルタイムに動かすと、これがアニメーションデータとしてレコーディングされ、収録したアニメーションデータを再生しながらさらにカメラアングルや細かな演技の追加を行うことでアニメーションが作成されます。
デモンストレーションのムービーでは子供にこのシステムを使ってアニメーションを作成するワークショップの様子が流されていましたが、直感的にVコンテを作成するプレビズツールにも応用できるのではないかと思いました。

・Clowds with Character:"Partly Cloudy"
今年のアニメーションフェスティバルで上映されたPIXORの短編作品のキャラクタメイキング事例です。雲のキャラクタを表現するために、ガスっぽい雲の表現の部分で色々と試行錯誤した事が途中のテスト画像から想像させられます。ボリュームや流体、パーティクルなど様々な手法のテスト映像が上映されました。最終的にはメッシュでキャラクタの造形を行い、このモデルにパーティックルをアタッチさせて、ノイズアニメーションを加える事によって表現されています。他のセッションでは、もう1人の主人公、コウノトリのメイキング