3日目です。Exhibitionも始まり来場者が増えて賑やかになってきました。今日、自分にとってショックなことが。。。GeekBarに彼、QUASI君がいないんです。今年のGeekBarは落ち着いた感じで、静かにセッション中継や無線LANを提供しています。あの、甲高いおしゃべりが懐かしい。。。
●Iron Man 2: Bringing in the “Big Gun”
現在、日本でも公開されている『アイアンマン2』のプロダクションセッションです。アイアンマンスーツのデザインからExpo会場のエクステンション、バトルシーンの事例など内容は盛りだくさんでした。特にアニメーション関係では、アイアンマンスーツの表現アプローチが興味深い内容です。アイアンマンのスーツの表現にはCGの他に実際にプロップのスーツを着用しているカットがあります。このスーツは役者の動きに制約を与えないように作られています。このスーツだけでは足は殆ど役者の足が露出している状態なので、これにCGのパーツをはめ込んでいく訳です。冒頭のシーン、Expo会場に降り立ち、アイアンマンスーツを脱ぐシーンはカット毎に適切な手法を採用しています。因みにIvanとの終盤のバトルシーンでは、光学式モーションキャプチャとVcamが使用しています。この場合、Ivanの露出した頭部を別にコンポジット素材として撮影して合成しています。ライブ映像にCGパーツをはめ込む手法ではILMで開発されたimocapを使用して、状況に合わせて光学式でVcamを利用したアプローチを利用するといった2つのMOCAPシステムを併用しているのですが、何か判断基準があるのかどうか興味深いところです。
●Animation Blockbuster Breakdown
アニメータが自分の携わったシーンをどのように作り上げたか自ら解説するセッション。すごい人気です。とにかく並んでいる間も周りでの会話はアニメーションネタが多い事多い事。登壇者はディズニー・アニメーション・スタジオとPoxarのアニメータです。手描きと3DCGアニメータ、両方が登壇されているのがミソです。内容はテクノロジー的な内容は一切なし。どうキャラクタに演技を付けたか完成に至るまでの工程を解説しています。
アニメーターによってアプローチや工程は様々ですが、3DCGアニメーターはビデオで自分で演技してみるということを頻繁に行っています。これは自分の周りのアニメーターも実践している人が多く、万国共通なのかもしれません。事例の中には『トイストーリ3』のバズのフラメンコのシーン事例がありましたが、アニメーター自身にフラメンコの素養が無くても、どう演技させるか、どういったアイデアがあるのか、整理するためにつたないダンスをビデオに収録していました。(このビデオが説明のバックで延々と流れて会場は大爆笑でした。)こうした工程によって演技の骨組みが明確になり、その後フラメンコダンサーの映像を見る事でフラメンコらしさを動きに加えていくそうです。アニメーターは2D、3DCG問わず、常にフィジカルな意識を敏感にしていることが重要であると改めて思わされます。その他にボイスに合わせた演技付けの考え方やデフォルメされたキャラクタにも通常の身体と関連付けを行い演技を付ける事等、なるほどと思わされるトピック満載のアニメーターに超おすすめのセッションでした。
●Planning & Terrain
モーションプランニング関連の論文発表です。地形と簡単な入力からキャラクタの動きを自動生成するといったもので、ゲーム開発では地形に対するインタラクティブで細かなキャラクタ挙動に応用できる技術です。キャラクタアニメーションのクオリティ向上と地形作成の自由度の幅を広げる可能性があります。
・Robust Physics-Based Locomotion Using Low-Dimensional Planning
オンラインでキャラクタの足取りを設定すると物理ベースでバランス取りを考慮した腰位置の移動パスを自動生成します。アニメーターが移動モーションを作成するアプローチとは、ある意味逆のアプローチですね。
・Terrain-Adaptive Bipedal Locomotion Control
平坦でない不規則な地面に対して、事前にパスプランとタイミングを計算して、モーションコントロールを自動生成します。前後左右に対して段階的、或は急激なターンに対応するのが特徴。
・Optimizing Walking Controllers for Uncertain Inputs and Environments
物理ベースの不確定要素、例えば、外部からの力、ユーザー入力、トルクコントロールなど、に対処する方法として確立分布とモンテカルロ法でコントローラを最適化するアプローチの紹介です。平坦な場所以外に細い足場での歩行や滑りやすい地面、コーヒーカップを持って中身をこぼさないように歩くといったデモが紹介されました。ここではきちんと状況に判断した動きを自動生成する事が目標ですが、逆にパラメータをコントロールする事によって、身体的にうまく状況を判断して動けない、例えば、疲れているとか大きなダメージを受けてうまく身動きできないといったシーンに応用できると面白いインタラクティブな表現が出来そうです。
セッション終了後はSideEffectsのユーザー会に参加しました。今回は新バージョンのHoudini11のラウンチイベントということで、会場がえらく広い場所です。HoudiniはハリウッドでVFXエフェクトで評価の高いツールです。流体、物理シミュレーション、パーティクルなどエフェクト系の機能が充実しています。今年のセッションでも流体ネタが多く、デモンストレーションしているのを見ていると流体のエフェクトがとても面白そう。。。
終わった後は会場がダンススペースに変身。ファイアーダンスパフォーマンスなどもありました。エフェクトで評価が高いってことで火ネタで合わせたのでしょうか。w
部屋に戻って今日1日のレポートをビール片手に作成です。。。ビールのサイズがなんだか狂っていますが。。。