SIGGRAP最終日は非常に閑散としています。機器展等は最終日開催時間が終わると即撤収作業に入ってしまいますし、レジストレーションなどもお客さんがいる前でどんどん撤収されていきます。今日は午前中にパネル、午後は論文発表を受講しました。
午前中に受講したパネルはRayTracing and Radiosity : for Production?というテーマでプロダクションワークにおけるレイトレーシング、ラジオシティの現状についてのディスカッションが行われました。このパネルは非常におもしろい内容の展開でした。レイトレーシングを積極的に使い、ラジオシティの可能性についても模索しているプロダクション(Buue Sky|VIFXがそうでした。)も有れば、ほとんどの場合でレイトレーシングを使う必要性がほとんどない(Rhythm&Huseでのプロダクションワーク例で出された最新のポーラベアではレイトレーシングは使われなかった。)とプロダクションによって様々でした。
共通している点はプロダクションワークとして成り立つ生産性とや必然性によってはレイトレーシングやラジオシティの可能性もあるが、必ずしもイメージしているものがレイトレーシングを使った方が良いというわけではないそうです。
例としてはRhythm&Huseの例として出されたポーラベアのCMでは水面に反射するカットを実際にレイトレーシングでテストした例が出されていましたが、これはクライアントのイメージしている物とは異なった結果になってしまったため、反射イメージをリフレクションさせて、ディスプレースメントを加えて水の反射を表現したそうです。それそれのプロダクションによる違いがおもしろい反面、常に生産性とクオリティのバランスを取りながらのプロダクションワークはマシンパワーが上がってきている今も昔も状況はそれほど変わらないという意見が出ていたのにはおもしろいと思いました。
午後の論文発表はArt,Illustration,Expressionのセクションを受講しました。このセクションではNon Photorealisticrなイメージの生成方法についての研究発表が行われており、デザイナーの自分が見ても非常に楽しい論文発表です。今回のこのセクションで個人的におもしろいと感じた論文発表は、Texture Mapping for Cel AnimationとA Non Photorealistic Lighting for Automatic Technical Illustrationでした。
前者は手書きアニメーションと非常にシンプルに制御したテクスチャ付きCGIの間で動きやフォルムは手書きアニメーションのイメージを、テクスチャの貼られ方(UVデータ)に付いてはCGIを参照してイメージを補完精製する技術についての論文発表でした。単なるCGを手書き風のイメージに変換するのではなく、あくまでも手書きアニメーションの動きやデフォルメーションを主観とした点がおもしろいと思いました。
後者はSOFTIMAGE等でもTOONシェーダーを使用して同様なイメージが可能ですが、工業製品のカットモデルをCAD等のデータから生成できないだろうかという切り口から研究された物で、アニメ風のイメージを生成するのとはまた異なった技術的な問題をクリアする必要性が有る点がおもしろかったです。
以上のセクションで今年のSIGGRAPHの全てのプログラムが終了しました。個人的な感想としては、HoudiniやSOFTIMAGE、MAYAといったパッケージソフトに付いて、自分が見ている範囲では、今回は日本での情報の方が早かった感じがしました。(その分SIGGRAPHでの驚きが半減したような感じです。(^^:
日本からの参加者も過去に比べると多く、年を追う毎に日本でのSIGGRAPHの注目度が大きくなってきていると感じました。