シーグラ日記`99 -8.12-

毎朝の最初のお仕事。メッセージボードを見て、何か連絡が来ていないかどうかチェックします。「大場さん、シーグラフ東京のパーティーはどうしますか?13:00にインターナショナルサービスで会って下さい」??一体誰だ??差出人はちゃんと自分が誰なのか名乗りましょう>太田君(笑)

機器展3日目です。サイドエフェクトのブース。500GPがデモリールに入っていました。Houdiniはユーザーミーティングで4.0を発表しましたが、会場では3.0のデモを行っていました。4.0からLinux版がリリースされる予定で、E&SのブースではLinux版のHoudiniが動いていました。

 

アメリカの雑誌GAME DEVELOPER MAGAGINEにも大きく広告を掲載してミドルウェアを売り込んでいるマスエンジン。デモンストレーションでは複雑な物理シミュレーションをPC上で動かしていました。東京支社も設立する予定があるそうで、今後のゲーム開発において要チェックの会社になるかも知れません。

ちょっと面白いツール、ZBRUSH。3Dペイントかと思っていたら、ブラシ感覚のモデラーにもなったりとペイントツールなのかモデラーなのか、??なところがなかなか面白かったです。

2Dから3Dモデルを作り起こすツール、イメージモデラーの開発元REALVIZ社のブース。イメージモデラーのデモではお決まりのお面のイメージからモデルを起こす事例の他に、最近のGAP等で使われている、人物の動きがぴたっと止まって、視点だけが動いていくというイメージをどのように作るかといった事例も行い、「ああ、こういった使い方もあるのか」とちょっと目から鱗状態でした。奥行きに対してもモーションブラーがかかったようなイメージ(モデル?)を生成していたのがなかなか面白かったです。

他にもなかなか面白いツールを開発しています。複数に撮影し分けたイメージを大きな一枚のイメージにつなぎ合わせるstitcherは単にイメージ同士をつなぎ合わせるだけで無く、イメージ間の明暗や再度を平均的にそろえてつなぎ目が見えなくなるように再レンダリングをしてくれます。motion warperではイメージとイメージの間を自動補完して新たにイメージを生成して、イメージのフレームを伸縮するもので、動きの方向性を局部的に設定することで、きれいな補完イメージをつくり出していました。

今日はSWづくめの一日でした。Sketchsで午前と午後の二回に分けてSWのメイキングが紹介されました。午前は、クリチャーのフェイシャルアニメーション、キャラクタ同士の絡みのシーンの作成、モデリングのメイキングが紹介されました。フェイシャルアニメーションはMAYAのMELを駆使したフェイシャルアニメーション環境を構築していました。前日までのILMのSWに関するいくつかのセッションで、たびたびMAYAが出てきているということが今までとは違った状況で面白いと思いました。オリジナルのソフトウェアで無くても、ある程度は市販ツールのカスタマイズで事足りると言う状況がやっとできてきたと言う感じです。
非常に多くのシーンでデジタルエフェクトが使用される為にどのようなプロセスを辿った場合でも共通したデータベースにデータが置かれるような環境が構築されており、デジタルペイントと実写、デジタルキャラクタといった異なる素材がどのように関与してくるか容易に確認ができるようになっていました。このデータベースに関しては他のセクションでもたびたび出てきており、グループワークの効率化に非常に影響を与えた様です。モデリングの部分でもオリジナルソフトウェアでは無く、市販ツールが使われている部分がありました。3Dペイントの部分ではほとんど市販のツールを複数使い分けることでマップデータが作られており、市販のツールの方が場合によってはアップデートが早くて、データのやり取りが容易にできるのでメリットが大きい様です。

午後の回では、クロスアニメーションと群集のアニメーションに関するメイキングが紹介されました。
クロスアニメーションに関しては昨年、いくつかのツールが出てきたにもかかわらず、オリジナルの物が使用されていました。クロスアニメーションではセルフコリジョンや複数のキャラクターがからみ合う場合、物理的にはあり得ない状況(SWではダースモールがスピーダーから飛び下りて、周りながらナギナタをふりかざすシーンを例に挙げていました)など様々な課題が残っていること、より自然なデジタルキャラクタを作るうえで今後は需要が多くなるだろうと予想されていました。群集のアニメーションでは、モーションキャプチャーを素材として、数パターンのサイクルアニメーションを作成し、キャラクター自信の移動アニメーションはパーティクルをソースとしたパスアニメーションで制御されていました。ここでもMAYAが使われており、MELによろオリジナルプラグインによって、サイクルアニメーションとパーティクルの移動アニメーションの同期、スピードの調整を行っていました。

最後にパネルでひとつ面白ものを受講。How SIGGRAPH Research is Utilized in Games と名付けられたこのパネルではゲーム開発の分野でどのようにSIGGRAPHを利用(リサーチ)しているか、自由な視点で論じられた。アメリカでも PS2の存在は非常に大きなもので、非常に高度なグラフィックスが可能となった時、ゲーム開発の分野 はSIGGRAPHでもより大きな影響を与えることになると予想されていました。反面今までのインタラクティブな部分に対するリサーチがSIGGRAPHでは甘かったのではないか?よりゲーム開発のシーンで求められているニーズに対応していなかったのでは?とか、むしろ高度な技術や論文をもとにゲームシーンで通用するような技術も生まれているなど様々な議論がされて、非常に面白かったです。アメリカでPCゲームが数多くつくり出されている背景に、「より開発者自身が自分のスタイルでゲームをチューニングして、造り出したいイメージを作ることができるのは、コンシューママシンよりもPCの方だ」という意見が非常に印象的なパネルでした。

ペーパーレセプションの様子。いよいよ終わりかといった感じがして、ちょっと寂しくなってきます。場所はボナベンチャーのプールフロア。自分の宿泊しているホテルなので遅くまで騒げる。(笑)青柳君は一度部屋に戻ってお風呂に入ってから、またレセプションに戻ってくる荒技をやってました。バウチャーには11:00までとなっているのに、バンドの演奏時間は2:00までとなっているのに驚き(^^:会場が狭いので入場制限がかかるくらいの盛況でした。

いつも、料理がすぐなくなってしまうことが多かったので、今日は最初に食事を済ませてしまおう!とはじめから飛ばしまくる大場さん&青柳君。しかし、今回に限って12:00になっても料理はたくさん残っている始末。(^^::お腹が一杯になっているにも関わらず、のんびりとして、結局1:00まで会場にいました。う~、明日の朝がきっとつらい。(-_-: