バンクーバーコンベンションセンターはEastとWestの2つの区画に分かれています。セッション関連の一部がEastで行われるため、見る順番に寄ってはWestとEastを行ったり来たりすることになります。 West会場の写真ばかりなので、本日の最初の1枚はEastの1F入り口にあるトーテムポールの写真です。あちこちで見られるトーテムポール、個人的にその造形にはまっています。トーテムポールの造形、文様に関する洋書を買ってしまいました。
●Capturing & Modeling Humans
モーションキャプチャ関連の論文発表です。今年は新しい手法、デバイスとデータベースを使用したアプローチの傾向が見られました。昨年まではビデオベース一色の感じでしたが、次なる新しいテーマ、展開に全体的に移行するタイミングなのかもしれません。個々の研究はマイペースで勧められているにもかかわらず、全体としての傾向は見ると感じるところがあります。
・Physically Valid Statistical Models for Human Motion Generation
フィジカル統計モデルを使用して、入力された特定の関節のフォースからモーションキャプチャデータベースの動きを加工する手法です。例えば、足に重りを取り付けられて、片足を引きずるような動きや、コリジョンが変化する地形へのフロアコンタクトの調整など応用範囲が広そうです。パラメータの設定に寄っては、重力の低い状況での歩行や忍び足等の表現も可能です。
・Motion Capture From Body-Mounted Cameras
体に小型カメラGO Proを取り付けて、カメラの画像をトラッキング、点群の3Dストラクチャを 生成する事で、身体の動きをデータ化する手法です。カメラを設置するからスタジオが必要で場所が限定するのであれば、カメラを体に取り付けてしまえば、という逆転的発想でしょうか。マーカレスのMOCAP技術では加速度センサーやジャイロを使用した物が既に市場に出回っていますが、それらと比較すると、グローバル・モーションデータがとれるという点がメリットと言えます。(市販の物は算出したデータから仮想的にグローバルデータを生成しています)ウェラブルカメラのような小さなデバイスで、より高精度のカメラトラッキングが実用化されると、一気に実用性が高くなるように思えます。
・Motion Reconstruction Using Sparse Accelerometer Data
こちらはポジションデータを取得できない加速度センサーとデータベース使用したMOCAPシステムの発表です。別途用意したポーズ毎のデータベースをキャプチャしたデータで検索を行い、近いものを候補として利用する仕組みです。加速度センサーを使用したゲームデバイスからの入力の最適化などにも使用できそう。
・Video-Based Characters: Creating New Human Performances From a Multi-View Video Database
取得した3Dシェイプを基にこれもデータベースから類似した物を探して利用する仕組みです。 以前の論文では、シェイプから骨を生成する手法が紹介されていましたが、データベースを使用する事で、骨の生成の段階をなくす事ができます。また自動生成した骨よりもデータベースを基にした方が動きに安定感があるように見えました。
朝食を抜いてしまったので、早めに昼ご飯にします。パシフィック・センター・モールのフードコートまで戻って、タイ風チャーハンを頂きました。コーラを入れて約$9.0です。大盛りです。もう少しコンベンションセンターの近くにフードコートがあると便利なのですが、いまのところ見つけられません。
●The Visual Effects of “Thor” and “Captain America”: So Different Yet So Marvel
『マイティ・ソー』と『キャプテンアメリカ』のプロダクションセッション。アニメーションフェスティバルのセッションという事もあってか、このプロダクションセッションはテクニカルな部分の詳細な解説はありません。プロダクションワーク的にトピック的なショットをピックアップしているので、ビジュアルワークが良かったとか、技術的にはそれほど新規性はないけど、こんだけリソース使って出来たよ的なお話が多い印象でした。ブレイクダウン映像を流しながらのトークセッションだったので、印象的なトピックだけピックアップします。
・マイティ・ソーの神々が住むアスガルドのイメージは神々しさのある銀河と近未来のイメージ。
・キャプテン・アメリカの巨大戦車シーンは、グリーンバックでのライブショットに巨大なエクステンションとも言えるCG戦車を合成。爆発、煙、破壊ありと以外と重かった。
・キャプテン・アメリカ冒頭のニューヨークシーンは全て CG。
・ヒーロー前のキャプテンアメリカの方が実は手がかかった。体格の小さいほっそりした体型を表現する為に、3Dメッシュを役者の動きに合わせてプロジェクション、メッシュを局部的にシュリンクする事で体型を表現。
・マイティ・ソーの氷の巨人はライブアクションにスケーリングを掛ける方法と完全CGキャラクタとを適材適所でハイブリットで構成。
・マイティ・ソーの氷の巨人の4足モンスターのシーンは、キャラクタのインタラクションとそこから発生する物理破壊、ライブアクションとの合成とかなり手が込んでいる。
・キャプテン・アメリカの機関車のシーンの背景は全てCGと写真素材の合成で作成。ライブアクションとの合成もあり。
・キャプテン・アメリカの敵役、レッド・スカルのフェイシャルは特殊メイク+トラッキングによる局部的なCG合成。
・マイティ・ソーのデストロイヤーのRIGは通常の人型RIGのコントロールで板一枚一枚が相互に挙動する。スキニングではなく、板の形状を保ったまま、スライド、回転する。
・キャプテン・アメリカのプロペラ機のスタントシーンはライブアクションとCGアクションのハイブリッド。遠景になるとCG、近影はライブアクション(マットは敷かれているとはいえ、かなりハードなライブアクションをしている)
ランダムに2つの作品のショットについてトークが展開される構成でしたが、アクションシーンのブレイクダウンでは受講者がとても盛り上がっていました。いいところでムービーが止まると、会場全体からため息がw
●Real-Time Live!
リアルタイムグラフィックスの実演プレゼンテーションです。
・Alien vs Triangle
Nvidiaによるリアルタイムグラフィックデモです。歩行しているエイリアンにディスプレースメント・マッピングを設定したり、ビームでダメージを与えて挙動を変えたりとインタラクティブにエイリアンを操作、表示を変化させる事ができます。見た目は様々に変化するのですが、使用しているスキンは1つ、骨も1つです。アニメーションの挙動が変わる部分をどのようにコントロールしているかは不明。
・Chrysaora: WebGL Jellyfish Simulation
webブラウザで鑑賞可能なクラゲシミュレーション。パラメータを色々いじってクラゲの見た目をリアルタイムでコントロールすることが出来ます。会場ではキネクトバージョンも紹介されました。
・Kinectimals
Xbox360のキネクト専用タイトルです。3DSは犬と猫ですが、360では肉食大型猫の子のようです。フワフワした毛並みにじゃれている動きがとてもかわいいです。これはちょっと購買意欲をそそりますw キネクトは指の動きまではキャプチャする事が出来ないのですが、画面上に現れる手のアイコンは腕の操作に合わせてふさわしいと思われる動きが加えられています。こうした細かな気遣いが随所にみられます。画面前から人が離れて、それを察知すると、中の動物達が寂しげに遊んでよ〜とカメラに向かって自立的にアピールしているように見せたりしています。毛並みの乱れや草とのインタラクション等グラフィック表現も細かいです。
・Raging Rapids Rides
NvidiaのGPU流体のデモです。小型ボートをコントロールすると、水がリアルに挙動します。泡や水しぶきがリアルです。これもSandBOXで実際に操作することが出来ます。
・Samaritan Real-Time Demo
Unrealの最新ハードを想定したリアルタイム・シネマティック・デモ。会場で使用されていたPCでも処理は重いらしく、フレームレートが低かったのですが、これはわざと??照明やマテリアルのアプローチはほぼ映像と変わらなくなって来た感じがします。映像表現を向上させる事で、進化して来たゲームハードの将来の映像を見ていると考えて良いと思います。グラフィック以外のコンテンツの部分でリアルタイムならではの見せ方というのもこれから考えて行かなければなりませんね。
●Electronic Theater
初日ということもあって、開始時間30分前には良いポジションは全て埋まっていました。ほぼ満席に近い状態です。バンクーバーだからか?というようなネタもいくつかありました。ILMが作品毎に出展している為か、しょっちゅう出てくるなぁという印象も。そんな中で一番印象的な作品はやはり、PixarのLa Lunaでしょうか。久々にショート作品でかわいらしい無いようになっていて、見た後にほっとするところが良いです。
本日は@watapom氏の会社メンバーの方と夕食。魚食べたいよねということで、初日に@kaoruさんに教えていただいたシーフードレストランに行きました。北極イワナ(多分日本でいうところのオショロコマ系のでっかいやつ)のソテーはなかなかボリュームがあって美味しかったです。ワインを4人で2本空けてしまいました。。。