ジーディーシー日記 -3日目-

GDC2008

GDCの昼食といえば、何度も参加されている人々からは不評のランチ・ボックス。パンがボソボソしていて、なんだか微妙な味付けのサイドディッシュ(マカロニかライスのサラダ)とちっちゃいりんごが丸ごと、そして破壊力満点の激甘スイーツという組み合わせは個人的には食べられる内容だったりする。あまり食欲のないときは、サンドイッチだけしか口にし無いときもあるけど・・・写真のランチボックスはイタリアン。数種類の中からチョイスできる。

GDC2008

カンファレンスはTutorial2日目。今日はNormal Mapping Industry Surveyでノーマルマッピング漬けな1日をすごした。皺の表現とかでアニメーションでも「マップは関係ないと言えない状況になりつつあるので・・・まずはじめにNormal Mapの簡単な概略から。その考え方自体は1996年には発表されており、既に10年以上経過しているのだが、ゲーム開発シーンでは、PCプラットホームに加えてXBOX360、PLAYSTATION3と次世代コンソールの登場により実装が可能となり、ここ数年のクリエイターの技術的な面で一番に取り上げられる話題になっている。これは多少遅れて日本でも同様の状況だ。今までのワークフローを考え直す必要があるし、クリエイターにも今までとは異なる考え方でデータを作成する必要がある。勘所のない分、どういった考え方で取り組めばよいのか、先行事例には興味があるところ。

●Zbrush & MUD BOX Intoroduction
まずは、Normal Mapを作成する上で現状欠かせないツールとして、ZbrushとMUD BOXの基礎的な部分の紹介が午前中一杯で行われた。昨年はタイトル事例でZbrushの活用例が紹介されていたが、今回はZbrush本来のスカルプティングをメインとした使い方の紹介だった。どちらのツールも基本的にできる機能、使用目的はほぼ同じ。シェア的には先行している分、Zbrushの方が多いのではないかと感じた。(Zbrush自体はずいぶん前からリリースされているが、日本では次世代機でNormal Mapがサポートされたのをきっかけに、最近注目が強くなってきている。機能が充実しているので、スカルプティングのほかに、後述するイメージを取り込んでNormal Mapを作成するといった使いかたもされているようだ。(日本のゲーム開発ではこちらの使い方の方が多いようだ。)参考までにハイレゾリューションのクリーチャーを低解像のポリゴンモデルを基に作成して、Fnishまで仕上げた場合、平均して4週間くらいはかかると講師は述べていた。このコストをよしとするかどうか、日本では意見が分かれるのではないかと思った。

●Normal Map Implementation Buffet: MAYA/MAX/XSI
ZbrushやMUDBOXで作成したデータの各種GCCツールへのインポートに関する内容だと思っていたが、実際にはGCCツールごとの機能を活用したNormal Mapの作成フローの紹介だった。前述のZbrush、MUDBOXなどのNormal Mapを作成することに主眼を置いたツールとは異なり、事例の内容はどちらかというと低、中解像度のポリゴンデータのNormal Map作成のフローに向いていると感じた。もしかしたら、日本のゲーム開発ではこちらに近い活用方法からNormal Mapのフローが始まるような印象も受けた。ZbrushやMUDBOXの機能は充実しているが、どちらかというと高解像度ポリゴンの編集向きで、この精度でモデリングをするタイトルは現状少なく、そのため、活用する機会も限られ、そのノウハウなどが行き渡るには時間がかかりそう。対して、このセッションで紹介された、レンダリングの焼付けやPhotoShopのプラグインによるNormalMapの生成などは、それまで活用してきたノウハウやフローを応用することが出来るし、新たにツールを覚える必要がない分、取り入れやすい印象がある。ただ、方向性としては、HD化による映像密度の向上は必須課題ではあるので、追々、Normal Mapをとことん作りこむことに対応したフローが必要になってくることは間違いない。

●Texture Sampling
テクスチャイメージを取り込んでNormal Mapを作成するアプローチに関して、以下の4つのツールが紹介された。

Photoshop+NVIDIA NormalMap Tool
Crazy Bump
Illuminate Labs Tartle
Zbrush

各ツールの簡単なデモンストレーションと特徴が紹介されたが、今のところ、直感的に仕上がりのプレビューが可能という点でCrazy Bumpが1歩進んでいる印象を受けた。(現在はまだβバージョン)ただし、ツール単体での評価が必ずしも、ワークフローで最適とはいえない部分はある。たとえば、カラーマップと連動してテクスチャを編集したいといった場合は、Photoshopの方が使いやすいかもしれないし、Zbrushの豊富な機能で、カラーマップのレイヤリングをコントロールするなど、Normal Map専用のCrazy BumpにはできないTipsもいろいろとありそうだ。まずは各クリエイターが自分の担当領域でどのようにNormal Mapを作成するのがストレスのないワークフローになるのか、検討することは必要だと感じた。

●DATA Capture
3Dスキャナの活用例、どのような問題があるかについての紹介。個人的な印象としては映像制作的なアプローチで、なじみのない感じがした。MotionCaptureにも同様のことが当てはまるが、データをキャプチャするということは、プロシージャルでは解決できない、アナログなテイストを取り込むということが一番重要なのではないかと個人的には考えている。3Dスキャナでは、塑像したキャラクタモデルを取り込むことがゲーム開発ではメインになると予想するが、キャラクタの造形に対して、立体物でなければならない微妙なラインや面を表現したいというニーズが日本では少ないように思える。(将来的にどうなるかは不明だが・・・例えば、日本のフィギュアの造形技術は非常に高く、作家性も強い。こういったシーンとゲーム開発が結びついたりする可能性はあるかもしれない。)北米の場合はバックグランドとして映像制作でのモデル作成で、こうしたフローがポピュラーで、ゲーム開発に応用されることが考えられているのではないかと思う。

●まとめ
最後にTIPS的な紹介がいろいろ紹介されたが、これがなかなか参考になることが多かった。
・Normal Mapをボールド・カラーで塗ってみよう。HiRed、MidiumOrengi、LowBulue、Normal Mapでどのように解釈されるか、確認すると驚くはず!
・Normal Map VS Geometory 521のマップ1枚は2400ポリゴンのリソースを諸費する
・Zero Normal Mapも検討してみよう

全てのTIPSをメモすることができなかった。(泣)スライドのUPLOADを熱烈希望。次世代コンソールのタイトル開発で、特にクリエイターシーンでは注目されているNormal Mapではあるが、万能ではないということを強調していた。こういった見解を持つことができるのも、タイトルを1本以上経験している先行の強みだと思う。

GDC2008

GDC2008

カンファレンス終了後はカナダ主催の交流パーティー、ギフトでカナダらしくホッケーシャツをいただく。その後、同じ会場でイースト・ミーツ・ウェストというGDCイベントが。パスを持っている人なら参加OKで東西の開発者の交流を深めようというもの。・・・が、ここで久しぶりに会う日本の知り合いも結構多く、イースト・ミーツ・イーストになることも。(笑)