今日からGDCも後半に入ります。人がごった返しています。無線LANは使い物になりません。(泣)空いている時間に、リクルートブースを見て回りました。景気の影響はあるのかと思いましたが、表面的にはにぎわっていた感じがします。
任天堂の岩田社長による基調講演です。任天堂イズムともいいましょうか、面白いゲームを作る上でのヒントを紹介しているという点では、2007年に宮本氏が講演された内容と大筋で共通する部分が多かった印象です。宮本氏のエピソードを三人称で話されているところで、エピソードが若干面白く思えました。
手返しの良いプロトタイピングとか、アイデアは日常の中に転がっているなど、1度でも岩田社長や宮本氏の講演を受講した人には、それまでと同じ印象を持ったはずです。一緒に受講した同僚は2006年に岩田社長の講演を受講しているのですが、同様な印象を持ったようです。マンネリと一言で片付けてしまえば簡単ですが、それだけ、任天堂以外のデベロッパーに対して憤りを感じている現れ?そして、任天堂のゲーム開発の根底にあるものが揺るぎなく的を得ている?と深読みすると色々考えさせられます。個人的には「それだけがゲームの面白さを決めるものじゃない」と思いますし、それとは別の方向性も突き詰めたいと思うところです。手返しの良いプロトタイピングはすぐにでも実践したいところですが。。。
●Universal Character Systemin SAINTS ROW2
SAINTS ROW2でのキャラクタメイキングシステムの実例紹介でした。キャラクタメイキングをユーザーが自由にできるシステムは、かなりスタンダードになった感じがしますが、ユーザーの自由度を高くすればするほどシステムは複雑になり、アーティストの立場からすると造形面で個性を出す事が難しくなるという課題があげられます。
SAINTS ROW2ではキャラクタメイキングシステムに
1.プレイヤーキャラクタメイキングの強化、
2.NPCキャラクタのバリエーション強化、
3.キャラクタメイキングシステムによるキャラクタのクオリティを高くする
といった課題をもって、キャラクタメイキングシステムの開発を行ったそうです。
全てのキャラクタはベースメッシュと呼ばれる、ユニセックスな人体モデルを基にしています。従来の手法ですと、こういったベースモデルがいくつかタイプが用意されて、局所的なモデル変形の仕組みを組み込んでキャラクタメイキングを行う事が多かったと思いますが、この事例で紹介されたシステムでは、 Gender、Fat、Muscularity、Ageといった要素毎にモーフターゲットを用意して、ブレンドの比率によってキャラクタメイキングを行っています。局所的な変形を用意するより、造形の自由度という点で開発のアーティストは個性を出し易い方法といえます。主役やサブキャラクタなどに関してはこうしたテンプレートを用意して表現しているとのことです。こうすることで、キャラクタ造形に個性を持たせつつ、服装やアクセサリを変えるといったキャラクタメイキングの自由度も両立させています。ノーマルマップに関しては、マッスル(筋肉)、ファット(脂肪)、スキニー(骨の透け具合)、エイジ(年齢による皺)の各要素のノーマルマップを用意してブレンディングする手法をとっています。
衣服に関してもプロシージャル化がされています。マテリアル関係ではプロシージャル化が以前から強かったように思いますが、造形に関しても、衣服のモデルを作成する上でのテンプレートが用意されており、このテンプレートに従った造形であれば、前述したキャラクタ造形のシステムで変更を行っても破綻することなく変更が反映されます。テンプレートといっても、アンダーシャツや襟、コートやスカート、パンツなど、実際の衣服の形態に対応してベースメッシュ上で領域が示されているようなものなので制約は殆ど無いように感じます。
アニメーションに関しては極端なプロポーションの設定を行った場合でも、アニメーションが破綻しないように、プロポーションを基にしたアニメーションの補正が行われているようです。このあたりはQ&Aの質問に対して回答があっただけなので、具体的にどういった仕組みでアニメーションが調整されているのか話はありませんでした。キャラクタメイキングシステムの事例紹介の場合、話の中心がどうしても造形的な部分になってしまうのですが、造形のバリエーションが広くなればなるほど、アニメーションデータの体系にあわせたプロシージャルな調整の仕組みというものが必要になってくると思います。今後はそういったアニメーション関係の話も、キャラクタメイキングシステムの事例の中で紹介されることも出てくると思います。
本日は午後から打ち合わせを3つ行い、夕方からはAutodeskのパーティーに参加しました。会場はAutodeskのモデルルームです。さすが製造業のシェアが巨大なカンパニーです。Autodeskのソリューションを使用してデザインされた様々なプロダクトデザインが展示されていました。100ドルPCのモックも。発電ユニットは初めて見ました。(笑)ツール系の会社のパーティーはその開発者にあうことが出来るので、面白い話が色々聞けるという点で楽しいです。今回も後半盛り上がって、最後の最後まで会場に居座ってしまいました。何だかアニメーションに関して熱く話しすぎたような。。。。。