IGGRAPH ASIAが今日からスタートです。電車でSIGGRAPHに参加する事ができるなんて、最初にSIGGRAPHに参加したときには想像もできませんでした。CEDECのような感じで朝一番に会場でレジストレーションを行い受講パスを受け取ります。北米と違ってかなりアナログな手渡し方法です。まぁ参加人数は本場よりも小規模なので、当たり前なのですが。。。
●What’s Your Story?
ストリーテリングを如何に組み立てて行くか、その構造や体系について詳しく解説したコースでした。以前より日本のビデオゲームではストーリーテリングが重要視される傾向がありましたが、こうした体系立ててストーリーとはどういうもので構成されているのか、またストーリーを作り上げるための方法論のようなものは、ゲーム業界ではなかなか接することが無く、興味深い内容でした。前半は講義形式でストーリーテリングの体系を解説し、ブレイクの後は解説されたメソッドに沿ってワークショップ形式でソトーリーをその場で組み立てるという事を行いました。この後半はかなり脱線したところで盛り上がっていましたが、ブレストのように意見を出し合って、ルールに沿って行く事でストーリーが組み立てられていくと、なるほど、と思わされる事が多くありました。
アウトライン ストーリーのコア:
CATALYST –upsets the balance
BIG EVENT –big change
PINCH –major plot twist
CRISIS –ow point
SHOWDOWN ‐climax
REALIZATION –resolution, growth
例えばスターウオーズを例にすると、
ルークはレイアのメッセージを受け取り(CATALYST)
タトゥーウィンを離れ(BIG EVENT)
デススターに捕まり(PINCH)
オビワンがダースベーダーに殺され(CRISIS)
反乱軍と共にデススターを攻撃(SHOWDOWN)
フォースの力によって勝利する(REALIZATION)
こういったフレームに納めてくると、個人的に作家性とか感覚的なところで作られていると思っていたストーリ作りというものが、どうやって組み立てられるのか見えてくるところが多くありました。まぁ、これだけだと要素のリストアップではないので参考になりませんが。フルカンファレンスに付いてくるDVDにコースノートが納められています。フルカンファレンス以外の方でもSIGGRAPHの会場でも販売されています。
●The Look of “Up” A Filmmaker’s Guide to the Pixar Process
PIXARの最新作「カールじいさんと空飛ぶ家」のカメラやライティング、キャラクタ、ステージセットといったものがどのようにデザザインされているのか、アートワークの側面から解説された内容でした。特にカメラとライティングのデザイニングに関するセッションは、もう一度、もう一度映像を見に行きたくなる気にさせられるほど、色々と参考になる事が多い内容でした。
印象的な部分のメモ:
Carl:□ Russell:○
OLD VS. NEW Rigid VS. Flexible
こうした対比による見せ方。
ストーリーと見せ方のデザインが一致して魅力的な映像になっているんだな、と。
風船で空を飛ぶ家はまさに象徴的。
カメラのコンセプトとしては静的とダイナミックこれを使い分ける。
ストーリの時間軸に沿って、□と○を0〜10の値でグラフ化。
こうすると、カメラのコンセプトがよりはっきり分かる。
カメラワークも□と○の強度で変わる。
□:Narrow Lens ○:Wide Lens
□:Push ○:Zoom
□:Track&Boom ○:Pan&Tilt
□:Direction Left、Down ○:Direction Right、Up
家やEllieと過ごした家具は同じレイアウト。
Carlの記憶とイメージを共有する。
Ellieのシンボルはピンク。どこかに必ずピンクが身につけられている。
Ellieが亡くなった教会のシーン、ピンクがかったライティング。
家に一人戻るCarl、空はうっすらとピンク。
家の扉が閉まるとともにゆっくりとピンクのライトが弱まる。
(このシーンにこんな仕込みがあるなんて。。。)
初級のコースではありましたが、基礎をおさえつつも映像をデザインするとはどういう事なのか、実践的なエッセンスが多く込められていました。
●Fast Forward Session
明日から始まる論文発表の全項目を一気に、あっさり解説する、初日恒例のイベントです。これを見ておくと、あとで「あぁ、これ見とけば良かったかなぁ」ということが未然に防げます。今回はあまり受けを狙った手の込んだプレゼンを行う方はいませんでしたが、その分、概要が分かりやすかったかもしれません。
ということで、初日が終了しました。このまま家に帰るかと思ったら、そこはSIGGRAPH。例のごとく顔見知りの方々とビールをたらふく頂きました。初日を終えた印象としては、セッション数や規模の違いはあるものの、セッションの雰囲気はまさにSIGGRAPHといった感じでした。明日以降、本格的にセッションが始まり、人が多くなるとセッション会場に入場することが出来るのか、少し不安は残ります。