ジーディーシー日記 2012 3日目

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今回宿泊しているホテルにコンチネンタル・ブレックファーストというサービスが付いているのですが、いわゆるあま〜い菓子パンとコーヒー、紅茶、ジュース類以上!という簡単な朝食です。アメリカに来てからずっとそんな感じの朝食だったのですが、元々、朝ごはんガッツリ派なので、TADステーキに朝食を取りに行きました。目玉焼きにソーセージ、トースト、ジャガイモ山盛りな内容です。目玉焼きに醤油が合ったら良かったかも。。。

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●Modular Rigging in Battlefield 3
午前中は諸々の打ち合わせでした。今回は偶然にも連続してミーティングのスケジュールが埋まったので、あとは存分にセッションを受講できます。まずは、昨年のSIGGRAPHで直前にキャンセルになってしまった、バトルフィールド3のモジュラーリギングのお話です。具体的なモジュラーRIGの機能説明はあまりされず、モジュール式でRIGを開発、提供すると、いろいろ効率が良くなりますよ、アーティスト自身がセットアップできるようになりますよ、といった概略的な内容でした。色々なモジュールがあって、ブロックのように組み合わせてRIGを作成するというよりは、現代ものという事もあって、ほぼ定型作業を順を追ってボタンをクリックするだけでセットアップできる&データを共有できるというものでした。前半の導入部分では、本作業に入る前にRIGのプロトタイピングを沢山作って、アニメーターからフィードバックをもらってブラッシュアップするといった方法で開発を行ったそうです。(まぁ、このあたりは日本とそれほど変わりませんね。プロトタイプの段階ではモジュラー的な構造よりもアニメーターのユーザビリティー を中心に検証されているようです。)
武器にも1ジョイントスケルトンが仕込まれています。様々な形状の銃器が登場するこのタイトルでは、単純な武器のセットアップでも効率化の対象となり得ます。武器のセットアップはほぼ1クリックするだけ、コントロール方法のオプションが幾つかあるだけです。
フェイシャルの話も紹介されました。FACS(Facial Action Coding System)をベースとした表情セットを作成して、フェイシャルキャプチャで得た、動作 データを使ってシェイプブレンドを行っています。アニメーションパラメータは各ポーズのブレンド率となるため、沢山の顔のバリエーションでアニメーションデータを共有することが出来ます。フェイシャルキャプチャのシステムは、イメージベースでヘルメットに付けられたカメラから真正面の顔を収録しています。imagemetrics社で処理されたようです。

●Saints Row the Third Real Time Capture Tools
ゲームシステムを応用してカットシーンをインタラクティブに作成するツールのお話です。今年の傾向として、シネマティックをしっかりやりましたよ的な内容が結構多いと感じますが、コンテを作ってMOCAP収録してといった手間を掛ける必要の無い導入、幕間的なカットシーンも多くあります。このセッションで紹介されてたツールはそんなサクっと作るための環境です。 ツールはキャラクターコントロール(ゲームプレイ)用とカメラ制御用で2つのコントローラーを使用します。まず、ステージ上にキャラクタを配置して、ゲームプレイするのと同様にコントローラを操作して、キャラクタを動かします。このプレイ状況がレコーディングされて、リプレイが可能になります。リプレイしながらカメラ制御用のパッドでカメラレイアウトを行います。一連の動作でカットが変わる場合はこの手順を繰り返すというような流れでカットシーンを作成することが出来ます。そのほかに再生スピードの調整や移動するキャラクタに対して、設定したカメラレイアウトからトラック動作にトラジションするといった表現もゲームコントローラーで操作することが出来ます。こうしたゲームプレイを使ってカットシーンを作るという考え方は自分の職場でも採用される例がありますが、パッドを物理的に機能別に分けるというのは分かりやすそうです。専任チームで大規模に制作されるしネマティックが多くなるのと平行して、こうした簡単にゲーム映像を作成するツールも使われ続けると思います。

●Animation methodology for Battlefield 3
ゲームインタラクション部分を中心にどのようにアニメーションが作成されているか紹介されました。特別変わったアプローチをしている事はありませんが、AIサミットなどでも取り上げられる、アニメーションツリーやAIのパス制御、プロシージャルなアニメーションコントロールがきれいにまとめられています。モーションブレンドのパラメータやオーバーラップのタイミング、レイヤリングのウェイトなどパラメータがアニメーションカーブツールのようなインターフェースでコントロールすることが出来ます。変更したパラメータはリアルタイムでビューイングに反映されます。AIのムーブメントは3Dペイントのインタフェースのように地形にパスを描くようなアプローチで構築します。これらのセットアップはアニメーター、アニメーションに関わるゲームデザイナーが行っています。先日見学したスタジオでも、インタラクション部分のセットアップをアニメーターやゲームデザイナーが行っており、こうした体制は今後こちらでは一般になるのかもしれません。
最後に「アニメーターはバウンスボールのようなトラディショナルな手法に固執している場合が多いが、自分たちが表現するものはムービーではなくてキャラクターインタラクション、プレイ体験だということを意識して欲しい。トラディショナルなアニメーションメソッドはもちろん映像表現の上で重要な要素ではなるが、もっと動きのインタラクションをクリエイトする事に対して目を向けて欲しい」と述べていました。このセッションで紹介されたアニメーション技術はこれから先、スタンダードなものになっていくと思います。しかし、現状ではアニメーターが表現している手法とは全く異なるアプローチであり、よりテクニカルなスキルが要求されているために、アニメーターが生理的に意識を向けられないのかもしれません。遅くとも3年後にはAIやモーションツリーをコントロールするアーティストという存在が出てくるのではないかと思っています。

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今日の晩ご飯はオートデスクさんのパーティーで。ローストビーフに生ガキです。ステキです。このパーティーではオートデスクの製品を開発しているスタッフやセールスの方も参加されており、いろいろとお話しできました。(もちろん通訳付きでw)途中からワインを頂きすぎたのか、AIのステキなアーティストツールを作ってくれ!だの、ゲームインタラクションをデザインするアーティストツールがまだない!みたいな事を言ってたような。。。とにかく楽しかったです。
その後2次会に行って、2:00くらいまで呑んでいた為に日記が遅れた事はヒミツですw