最終日です。いつもの事ですが、終わるのがとても早く感じます。今年は規模の縮小があちこちで感じられるのですが、それはこんなところにも!!いつもならこのコンベンションセンターの外観に大きなバナーが掲げられるのですが、それも今年はなくなってしまいました。
●Motion & Emotion
・On-Site Real-Time 3D Match Move for MR-Based Previsualization With Relighting
MRをプリビズに応用した技術トークです。予め用意した3DCGキャラクタを撮影現場で配置とライティングをマッチさせるというものです。まずプリシューティングとして、基準となる目印を立てた状態で、撮影エリアを撮影して、特徴点のデータベースを作成、これを基にしてセットにマーカーレスでカメラをマッチさせて、背景と3Dモデルのリライティングを行います。プリビズの技術として研究されていますが、リライトする技術は高速化できると、実在す風景をゲームの背景にした新しい表現に応用できるかもしれません。
・Motion Regularization for Matting Motion-Blurred Objects
モーションブラーの付いたイメージに対して動く方向性を示すような指示によってシンプルなピクセルの組織化を行う事で、より理想的なアルファチャンネルを取得するための技術です。PhotoshopのPowerMaskと出力結果の比較を提示していました。
・The Mimic Game: Real-Time Recognition and Imitation of Emotional Facial Expressions
webカメラで人の顔の動きを基にリアルタイムでキャラクタのフェイシャル表現を行います。映像制作やゲーム開発に見られる、フェイシャル・キャプチャが顔に取り付けた各マーカーの移動量に基づいてキャラクタの顔を局部的に変形させているのに対して、ここで紹介されている手法では、特徴点を結んだ簡易的な顔のメッシュ単位で、様々な表情をデータベース化して、これを組み合わせた結果を基に顔のモデルを変形させています。前者が局部的なポイントの移動、後者が「表情」という概念を単位とした変化量といえます。
●Games & Real Time
・User-Generated Terrain in ModNation Racers
モッドネーションレーサーのコースビルディングに関するトークです。このタイトル、ユーザーが自由にコースを作成して、レースゲームをプレイする事がコンセプトとなっており、海外ではコースエディタを使って、マリオカートやデイトナUSDAを再現した映像が話題になっています。3Dペイントライクなコースエディタは誰でも簡単にコース作成が出来ます。トンネルや立体交差など複雑な構造も作成することが出来ます。描いたコースに沿ってフェンスを作成したり、トンネルや川、池等を自由にレイアウトするのですが、コースの状態を保持しつつ地形のみを変更する機能もサポートしているのは驚きました。
●Emerging Technologies
今年のEmerging Technologiesは展示スペースが縮小されていますが、それがかえってお祭り的な雰囲気になっていました。人も多く賑やかです。
・MONKY Lectric
自転車のスポークに取り付けるLEDライトです。回転速度によって表示されるイメージが異なります。また、イメージデータをPCから転送する事も可能。ハイテクな自転車カスタマイズギアですね。
・Shabond Display
シャボン玉をピクセルに見立てたインタラクティブディスプレイ。
・AirTils
モジュラーを使って囲んだエリアがセンサーエリアになるというもの。自由にセンサーエリアをクリエイトすることが出来ます。
・beacon2+
回転するレーザーに触れると音を発する楽器?回転する弦楽器といった感じです。
・Lumino
ブロックを組み合わせると、組み合わせに対応してディスプレイに表示されるオブジェクトも変化します。ブロックに束ねた樹脂ファイバーが組み込まれており、ブロックによって切り欠きが異なります。ブロックを重ねると、切り描き部分のパターンが変化して、どのパーツをどのように繋げているのか判断できるといった仕組みだそうです。
・colorful Touch Palette
パレットからマテリアルを選んでセンサを付けた指でモニタやオブジェクトをなぞると、選択したパレットの感触を感じます。指先のセンサは小さな電極でこれに電気を流す事で、擬似的に指先に触覚を感じさせます。触覚のデザインは試行錯誤の繰り返しだそうです。この他にも触覚をテーマにしたものがいくつも展示されています。
・FuSA2 Touch Display
樹脂光ファイバーを敷き詰めて、触った事によって発生する光の変化をセンシングして、画像のフィードバックを行うディスプレイです。裏側から光を投射、カメラも裏側にあります。
・Touch Light Through the Leaves
ネームングが良いです。円筒の底面が光に反応した部分のみ振動します。木漏れ日の触覚化ですね。
・Meta Cookie
クッキーにARマーカーが焼き付けてあります。食べられるARマーカーというところで色々楽しみが広がりそう。ヘッドマウントディスプレイでは色々なフレーバーのクッキーが香りとともに楽しめます。
●Biped Control
・Sampling-Based Contact-Rich Motion Control
モーションキャプチャデータを基に足だけでなく、例えば椅子に座ったり、床をゴロゴロしたりする動きに対してコリジョン計算を行い、床への沈み込みやオブジェクトとのインタセクションを補正する方法です。コリジョン計算をしつつもオリジナルの動きをなるべく再現するように調整されています。モーションキャプチャは方式にもよりますが、基本的に平らな床で演技をするため、CGの背景モデルとの接触の整合性を合わせる事が出来ます。極端な形状のスキンモデルがから起因するコリジョン調整にも活用できるかもしれません。
・Data-Driven Biped Control
モーションキャプチャデータの先のフレームを参照して、その動きをシミュレーションし、外力に対する補正やバランス調整、コリジョン、物理計算等を加えるというもの。関節の長さの違いによって動きが変わったり、部分的にパーツの質量を大きくして、動きを変えるといったデモを行っていました。通常の歩行から疲れているような動きや、足を怪我して片足を引きずるような動きを表現するといったアプローチができそうです。
・Generalized Biped Walking Control
リアルタイムでアーティストコントロールが可能な自動歩行生成です。スライダーで各関節の長さや重心の位置等を変更すると、リアルタイムで再シミュレーションが行われて、キャラクタの動きに反映されます。外力に対する反応や荷物を引っ張る、押すといった動作でもアーティストコントロールが可能です。キャラクタのプロポーションに依存しないため、例えば人の動きを、2足歩行の鳥やクリーチャー等の動きでシミュレーションを再現することが出来るという点が興味深いです。
・Feature-Based Locomotion Controllers
物理ベースの運動に関する高次関数を用いたアプローチです。こちらも、1つのコントローラーで異なるプロポーションのキャラクタに割り当てることが出来ます。状況に合わせて組み合わす関数が異なる仕組みになっており、丁度、人減が平均を保つような役割を果たしています。1つのコントローラーで異なる2足構造、プロポーションに対応しています。
これで、今年のSIGGRAPHは終了です。規模は明らかに小さくなったと感じさせられますが、来場者の色々吸収しようとする熱気に変わりはないと思います。個人的には3DCGアニメーションに関するアーティスト的な側面とテクニカルな側面が混在していて、様々な方向性を見ることが出来きました。来年までここでもらったテーマに色々な形で取り組めたらと思います。
そして最後の夜はやっぱり肉で締めましょうよ!ということで、ここに行ってきました。
お魚も頼んでよ!そんなおっきい肉オーダーしたんだから食べられるでしょ!な勢いでウェイターちゃんが迫ってくるので、お魚をみんなでシェアでオーダーしたのですが、コレはやりすぎました。お持ち帰りしてホテルに戻った後に部屋呑みで消化しました。