今日からカンファレンスが始まる。午前中にSketchを2セクション受講したが、人気のある内容だったのか、初日から部屋がFull状態になってしまって、途中からカンファレンスを受けることが出来なくなってしまう状態があった。LAでのSIGGRAPHは99年以来だが、カンファレンスの部屋が少し小さな区分けになっているような気がする。う~ん、人気のありそうなカンファレンスは早めに入室する必要があるかもしれない。
Sketch Artistic Depiction
アーティスティックな描写をテーマにしたスケッチ。モザイク画やパステル画などさまざまなアプローチが試みている点が面白かった。
Mosaic for Stackable Objects
各ピースが受胎的なイメージで構成されているモザイク画の生成アルゴリズム。イメージライブラリを増やすためにイメージを回転させている。隙間を埋めるためにさらに入れるしたイメージをさらにグリッド化して回転、数パターンを重ね合わせている。出来上がったイメージからもっと複雑なアプローチを取り入れていると感じたのだが、意外とシンプルなアプローチを取っている。
Strokes for Drawings Using Illuminated Paper Surfaces
実際のパステル画の筆圧の変化や紙に対する顔料の乗り方を考慮した、パステル調のドローイング。実際にPhotoshopやPainterなどパステル調のドローイングツールは実在するが、この発表のように筆圧の変化による顔料の付き方など細かな部分を観察したアプローチは無かったかもしれない。視察メンバーの金子君が聞いた話では。実際にパステル画の経験がある方らしい。こういった細かな部分に焦点が向くのは経験者ならではだと思った。
A Viscous Paint Model for Interactive Applications
油絵を3DCGアルゴリズムを使ってインタラクティブに再現するといった内容。再現の程度はさまざまだが、筆先の変形を3Dで計算して、筆跡を再現したり、絵の具の粘度に流体アルゴリズムを応用するなど、ちょっと使い方、切り口が変わっているのが面白かった。入力デバイスにPhantomが使われている。
Automatic Image Retargeting
携帯電話の画面にあわせたイメージの再構成を自動でおこなうといったもの。注目点となるエレメントを画像から抜き出して、背景をスケーリング、注目点のエレメントを再レイアウトする。言葉で説明しにくい内容であるが、イメージを見るとすぐに納得できる。
Sketchy Sketches
手書き的なアプローチをテーマにしたSketch。このセッションはとても人気があり、途中入室が出来ない状態に。内容も面白かった。初日から当たりカンファレンスだったかもしれない。(笑)
Tweaking stylized light and shade
アニメ調の陰影、ハイライト表現をインタラクティブに設定して、アニメーとも可能にした事例の発表。GPU計算でアニメ調のオブジェクトを視点を変えながら調整することが出来る。陰影、ハイライトの設定に関して、実際にアニメシェーダーでも思った通りの陰影、ハイライトの設定が出来ないところを、ハイライトをサーフェースに沿ってシフトする、というアプローチが面白かった。手書き的なアプローチかというと多少難があるが、インタフェースは直感的だと思った。さらにアニメーションが可能ということで、アニメ的な解釈で矛盾が生じにくい。
Sketch Interface for 3D Modeling of Flowers
多分、”Tweaking stylized light and shade”と並んで同じくらい拍手の多かったセッション。 スケッチ感覚でアウトラインを描くと植物が出来るというもの。現状では描くことが出来ない葉や花びらの形状もあるが、線の書き方に法則性をつけることで、どのような目的で操作しているのか、操作を明確にすることで簡単なインターフェースを実現しているという点で、評価が高かった。
SketchPose: Artist-Friendly Posing Tool
Walt Disney Feature Animationの発表で、手書きアニメーションでアウトラインを描くようにキャラクタのポーズを設定するというもの。MAYAに実装されたデモンストレーションの映像を見ることが出来たが、PaintEffectsの応用的な使い方といった見方も出来る。実際にキャラクタ全体をこのシステムでコントロールするレベルには達しておらず、触手や鶏冠など部分的な変形のアニメーションに使われている。ただキャラクタ前身をコントロールすることも将来的には可能だと感じた。
ゲームでのアニメーション製作の場合、アニメーションカーブを見ながらのコントロールが主体になっており、Pose To Poseのコントロールは敬遠されがちであるが、ゲームアニメーションよりも歴史のある手書きアニメーションは基本的にPose To Poseの考え方である。こうした、手書き的なアプローチが簡単に取り入れることが出来れば、アニメーション製作に対するアプローチに幅が広がるかも知れない。
Sketchを受講すると、毎年考えさせられることだが、アプローチにはさまざまな方法があること、そして焦点を明確にすることで、力を集中すべきポイントをつかむことの大切さを感じさせられる。ゲーム開発をしていると、製品の価値を高くするために、コアとなる部分以外に色々と付加するものが増大して、焦点が見えにくくなってしまった。ということが多くある。目的を明確にして、シンプルなアプローチを心がけることで、多くの場合は解決できるようなレベルである。アカデミックなものとプロダクトなものは同じ考え方で取り扱うことは難しいとは思うが、こうした考え方も時には必要だと感じる。
午後からはHoudiniユーザーミーティングに参加。
会場がダウンタウンではなく、チャイニーズシアターに併設されたHilandのナイトクラブ。ここが.hipの会場にもなるのかと思っていたが、クラブイベントはまた別の場所らしい。ユーザー事例は Sony Pictures Imageworks on Spider-Man 2、Digital Domain on The Day After Tomorrow、Framestore-CFC on Thunderbirds、Rhythm & Hues on Around the World in 80 Days.と4セッション行われた。定番のパーティクルエフェクトをはじめ、パイプラインツールとしての使用等、さまざまな事例内容だった。日本と違うと感じた点はVMantraを積極的に活用している点。細かくエレメントに分けてレンダリング、部分的に調整してレンダリング、コンポジットという流れに適しているためだろう。
次バージョンで組み込まれる予定の技術の発表もあった。最大の目玉は新たなるオペレータ、DOPのデモンストレーションだった。DOPはDynamics Opalationの略だろう。本格的なダイナミックスの機能がサポートされる。ダイナミックスの種類にはリジットとクロスがあり、ピンの拘束もサポートされている。牛のオブジェクトが何体もダイナミックスで飛ばされて、積み重なるデモには会場が大うけだった。そのほかにも筋肉挙動のセットアップ機能や、SelectからEscapeへのアップグレードプランやHoudiniの3rdパーティーレンダラーオプション、ノングラフィック版RScriptなどユーザーにうれしいニュースが多い発表だった。
ユーザーミーティング後はレセプションに突入。テラスからの眺めがなかなか良かった。昨年同様にリクルートブースも設定されており、人気があるイベントなのか人がごった返し状態だった。ここで最新版のApprenticeCDを数枚頂く。これは多分例年の如く、お土産プレゼントになるだろう。